【1】心の声「昔はあんなに頼りがいがあったのに」
ふとした瞬間に気づく。
久しぶりに会った親の、背中が少し小さくなっていたこと。
口調が穏やかになっていたこと。
同じ話を何度か繰り返すようになったこと。
「え、こんなに歳とったっけ?」
昔は、もっと元気で、強くて、はっきりしていて、
何かあればまず“親に相談する”のが当たり前だった。
でも今は逆に、こっちが心配してる。
「大丈夫かな」「無理してないかな」って。
そう気づいたとき、胸の奥がそっとざわついた。
さみしいような、不安なような、うまく言葉にできない感情だけが残った。
【2】「親の老い」に動揺する理由
■ それは“自分の人生の次のフェーズ”を突きつけられる瞬間だから
親が歳をとる=自分が「子ども」ではいられなくなる
ということ。
それは、意識のなかで「自分の順番」が近づいてくる感覚でもある。
誰かを見送る準備を、
自分が支える立場になる覚悟を、
まだできてないのに、心が勝手に察してしまう。
■ 「親はずっと親でいてくれる」と思っていた
親も人間だし、老いて当然だと頭ではわかってる。
でもどこかで、ずっと“変わらない存在”として心にいた。
その「神話」が崩れたとき、
“自分の人生の後ろ盾”をひとつ失ったような、不安が広がっていく。
【3】なぜ「さみしい」「不安」と感じてしまうのか?
■ 親の“これから”を考えるたび、言いようのない怖さが押し寄せる
- 病気になったらどうしよう
- 認知症が始まったら?
- 介護って、どうしたらいいの?
具体的な不安はまだ起きていないのに、
心が先に、いろんな“もしも”を想像して疲れてしまう。
■ “恩返し”がちゃんとできてないまま時間が進んでいく
「もっと話を聞いてあげたい」
「もっと大事にしたい」
「ちゃんと親孝行、できてるかな」
そう思いながらも、日々に追われて流してしまう日常。
そのうしろめたさが、
老いという“見た目の変化”によって急にリアルに迫ってくる。
【4】どうしたらいい?——「親が老いる」ことと向き合うヒント
■ ① 無理に“受け入れよう”としなくていい
親の変化にすぐに順応できなくてもいい。
「まだ親の老いを受け止めきれない」
そう感じる自分を、そのまま認めてあげてください。
“さみしい”も“怖い”も、全部自然な反応です。
■ ② 会ったときに「昔のままでいようとする親」にも目を向ける
多くの親は、子どもに心配をかけたくなくて、
“元気なふり”や“しっかりしてるフリ”をしています。
そのがんばりに気づくと、
こちらも少し、肩の力を抜いて向き合えるようになります。
■ ③ 完璧な親孝行じゃなくていい、“ちょっとした安心”を返せればいい
- 一緒に食事する
- なんでもないLINEを送る
- 昔話を少し聞いてあげる
それだけでも、親の心にはちゃんと届いています。
“何かしてあげなきゃ”と焦るより、
“そばにいること”が、いちばんの親孝行かもしれません。
【5】まとめ
「親が老いたんだな」と気づいたとき、
それはただの身体の変化ではなく、
“人生の役割”が少しずつ入れ替わるサインかもしれません。
でも、その移行は急がなくていい。
戸惑っても、涙が出ても、うまく受け止められなくても大丈夫。
大事なのは——
親の変化に気づけた自分を、やさしく抱きしめてあげること。
「ありがとう」を伝えるより先に、
「一緒にいられてよかったね」と、そっと心の中で言えたら、
きっとそれで十分です。
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